もくもくカメラのブログ

趣味の工作のこと、日常生活の中で見つけたこと・気づいたこと・思ったことを書き留めます。

もくもくカメラのしくみ −その2:装置の構成−

※雲を3Dタイムラプス動画として撮影する「もくもくカメラ」、記事がいきなり4年以上(!)途絶えてしまいました。当初多少なりとも関心を持ってくださった方々にお詫び申し上げます。また、再び訪れてくださった方々に感謝致します。恐縮しつつ、「もくもくカメラのしくみ」こっそりと再開させて頂きます。


※元ネタが古いので、現在の諸条件には合わない部分があるかも知れませんが、ご容赦願います。

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 立体視できる3Dの写真や動画を撮影するには、被写体を二つの方向から「右眼」と「左眼」で同時に撮影する必要があります。もし相手が近距離にあるものなら、「ステレオアダプター」を普通のデジタルカメラやビデオカメラに取り付けるだけで、それは出来るようになります(図1)。しかし、例えば高度数100mにある雲を十分な立体感で3D撮影するには、「右眼」と「左眼」を互いに数m〜数10mくらい離さなければなりません。ですから、この場合は2台のカメラが必要です。

図1 ステレオアダプターによる3D撮影

 ところで、もくもくカメラでは、相手が雲なので装置の設置場所が屋外、かつタイムラプスなので撮影は長時間になります。また、時には装置を設置したままその場を離れなければならないこともあるでしょう。そうなると、スマホや高価なデジカメの使用は少々心配です。逆に、安価な部材で手作りした装置なら、比較的にせよ心配は軽減されるのではないでしょうか。そんな訳で、もくもくカメラはウェブカメラとラズベリーパイ(ラズパイ)の組み合わせで作りました。

 

 写真1がもくもくカメラの外観(左右2セット)、図2が各セットの構成です。

写真1 もくもくカメラの外観(左右2セット)

図2 もくもくカメラの構成

 カメラユニット(写真2)は、ウェブカメラとその姿勢を調整・保持する機構とからなります。ウェブカメラはUVC対応品で、ラズパイとの接続はもちろんUSBです。保持機構は木製のDIY的なものです。底部に1/4インチネジのナットを埋め込んであるので、カメラ用三脚に取り付けられます。

写真2 カメラユニット

 操作パネルは、ブレッドボード上に撮影のON-OFFスイッチ、撮影動作表示用LED(緑)、OSのシャットダウンスイッチ、およびシャットダウン動作表示用LED(赤)を配線したもので、ラズパイのGPIOに接続します。
 左右2セットの各カメラがタイミングを合わせて撮影するには、各ラズパイのシステムクロックの時刻が揃っている必要があります。しかし、ラズパイは(最新のRaspberry Pi 5は別として)RTCを持っていない上に、屋外ではモバイルルーターでも使わない限り、ネット(NTPサーバー)からの時刻情報が得られません。ですから、屋外でもラズパイがOS起動時に現在時刻を参照できるように、外付けのRTCモジュールが必要になります。
 電源は、一般用の5Vモバイルバッテリーです。

 ここで用いた主な部材の型番、メーカー名等は、以下の通りです。

 ・ウェブカメラ:BSWHD06M(バッファロー製)
 ・ラズパイ:Raspberry Pi 1 Model A+
            Raspberry Pi 1 Model B+
 ・RTCモジュール:(DS1307使用、52Pi製)
 ・モバイルバッテリー:(cheero製、ANKER製)

 

ムカデをがぶりヤモリくん

ムカデを丸飲みするヤモリくん 2021年10月18日撮影

あれは2年と少し前、山梨への引越しのためにそれまで住んでいた東京の自宅を片付けていた時のことでした。ふと床を見ると、以前から我が家の同居人だった一匹のヤモリくんが。でも、少しいつもと様子が違うみたい。何かをくわえてる。脚がたくさんある虫。ヤスデかな?いや違う。この平たい体、きっとムカデだ。ムカデの子供。小さなムカデをおしりから丸飲みしてる。ムカデは顎を大きく開けて無駄な抵抗をしているように見える。しばらく観察してると、ヤモリくんはあわてず、少しずつ少しずつ獲物を飲み込んでいるようでした。そういえばあの家では、寝ている最中にパジャマに入り込んだムカデに噛みつかれて猛烈に痛い目にあったことが一度あったっけ。小さくて柔らかくて、ちっとも強そうじゃないヤモリくんだけど、こうして人知れず獰猛なムカデを小さなうちに捕えてくれていたのかな。もし彼(彼女?)がいなかったら、もっと何度も痛い目にあっていたかも知れないな。ヤモリくん、ありがとうね。

快晴の琵琶湖 -蓬莱山麓から東方を望む-

快晴の琵琶湖 −蓬莱山麓から東方を望む− 2024年1月14日撮影

ただいま、所用で滋賀県大津市(妻の実家)に滞在中です。冬場のこの地域は雨雲に覆われる日が多いのですが、今日は見事な快晴でした。上の写真はそんな昼過ぎに撮った一枚で、琵琶湖の西岸側から東の方角を見た景色です。湖面左端の彼方のくっきり冠雪した山は伊吹山(標高1377m)、中央左寄りのうっすら冠雪した山は霊仙山(1094m)、中央の湖面に浮かぶ島は沖島、その右隣の大きな島に見えるのは奥島山(424m)と長命寺山(333m)、さらに沖島と奥島山との間の彼方にうっすらと見えるのは、御池岳(1247m)でしょうか。写真の中の地形を地図と見比べて想像をめぐらせるだけで、週末の午後を目一杯楽しめました。

もくもくカメラのしくみ -その1:立体視の原理-

 奥行きのある物体を立体視する画像技術としては、19世紀の銀塩写真の時代から、ステレオカメラがありました。また、近年は姿を消しましたが、2010年頃には立体画像視聴用の3Dテレビが市販され、同テレビ用の3Dテレビ番組も放映されていました。いずれも、二つのレンズで別々に撮った画像を、両眼で同時に見る方法です。しかし、これ
らの中で使われた撮影方法そのままでは、雲の立体視はできません。対象物までの距離の大きさに対して、通常のステレオカメラや3Dテレビ用ビデオカメラは、両レンズの距離があまりにも小さいからです。

 上記ステレオカメラや3Dテレビは、両眼視差立体視の原理を利用したものです。両眼視差(以下、単に視差と呼びます)とは、両眼でひとつの物体を見た場合に、右眼の像と左眼の像との間に生じる見え方の差のことです。同じ物体でも、近くで見ると視差が大きく立体感は強くなり(図1(a))、遠くから見ると視差が小さく立体感は弱くなります(同図(b))。

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図1 視差と立体感の関係

 視差の大きさを表わす尺度として、輻輳角(ふくそうかく)があります。輻輳角とは、右眼の視線と左眼の視線がなす角度のことで、視差は輻輳角に比例します。

 ところで、たとえ物体が遠くても、2台のカメラを左右に大きく離して配置して、右カメラの像を右眼で、左カメラの像を左眼でそれぞれ同時に観察することが出来れば、その物体を近くで直に見た場合と同様に輻輳角を大きくする、つまり強い立体感をもって観察することができる、と言えます(図1(c))。

 例えば、人の(あるいは通常のステレオカメラの)両眼間隔を7cmとすれば、2台のカメラを7m離せば立体感は100倍、70mなら1,000倍になります。言い換えれば、カメラ同士を70m離すことによって、1,000m先の物体でも、あたかも1mの近距離で見るのと同様な立体感をもって、その物体を見ることができます。

 これが「もくもくカメラ」の原理です。ですから、2台のカメラを好きなだけ離して撮れるように出来さえすれば、どんな雲でも(種類によって高度は数10m~10,000m以上とさまざま)、その3D動画を撮ることができる筈です。

雲の動画を追加しました。

 雲の動画をYouTubeに追加でアップしました。

 過去のものとあわせて、以下にリンク先をまとめます。

 

    #1 わき上がる雲

    Flowing Clouds 3D Time Lapse 2018 10 09 Tokyo

    https://www.youtube.com/watch?v=C3G-Zr3CyFk&feature=youtu.be

 

    #2 入り乱れる雲

    Flowing Clouds 3D Time Lapse 2018 10 09 pm Tokyo

    https://www.youtube.com/watch?v=7KSD9sEqLJQ&feature=youtu.be

   

    #3 流れ続ける雲

    Flowing Clouds 3D Time Lapse 2019 05 19 Tokyo

    https://www.youtube.com/watch?v=LszAEFy-2QU&feature=youtu.be

雲の3Dタイムラプス動画を楽しんでみませんか。

 みなさん、こんにちは。

 このブログでは、空に浮かぶ雲を3Dタイムラプス動画として撮影し、それを立体視して楽しむ、という話題を提供します(他の話題も今後取り上げるかも知れませんが、いまのところは未定です)。

 最初のこの記事では、撮影方法のあらましと、それで実際に撮った動画を、ご紹介します。詳細な説明や、また新たに良い動画が撮れた場合はそのお知らせも、今後の記事として追加していくつもりです。

 

 【1】撮影方法

 奥行きがある物体の画像による立体視は、二つの離れた位置から同時に撮った画像ペアを両眼で観察する方法が、一般的です。そして、地上から空高い場所にある雲を立体視するには、撮影する二つの場所を、互いに遠く(数m~数100m)離す必要があります。また、その画像をタイムラプス動画として見られるようにするには、一定の時間間隔で多数の静止画ペアを撮影する必要があります。

 このような条件を満たすために、ラズベリーパイ(Raspberry Pi)という安価なシングルボードコンピューターを利用して、カメラ自体を手作りしました(図1)。

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図1 手作りしたカメラ

 このカメラを二台用意して、片方を自宅のベランダに、もう片方をそこから260m離れた丘の上に設置し、お互いのタイミングを合わせて、10秒に1回のペースで数時間続けて、静止画を撮影しました。こうして撮りためた静止画の中から約1時間分を選び、同時刻に撮影したもの同士を左右のペアとして合成し、この合成静止画を時系列に並べて動画化しました(図2、図3)。

 

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図2 動画撮影全体の流れ

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図3 撮影した動画の1コマ

 【2】動画

 こちらが撮影した雲の動画です(約1分)。スマホを市販の3Dゴーグル等にセットして再生すれば、立体視できます。

   Flowing Clouds 3D Time Lapse 2018 10 09 Tokyo - YouTube

   https://youtu.be/C3G-Zr3CyFk

 

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名前について:

最初にこのアイデアを思い付いたとき、青空を背景に真っ白い雲がもくもくとわき上がるシーンが頭に浮かんできました。そして、実際にカメラを作り始めてからは、これを「もくもくカメラ」と呼ぶようになりました。この名前を、そのままブログのタイトルとIDに使うことにしました。