もくもくカメラのブログ

趣味の工作のこと、日常生活の中で気づいたこと(ときには文学や外国語やその他のこと)を書いてます。

産卵の寄生バチ −命をつなぐは命がけ−

 自宅にあったクヌギやコナラのかなりの数をまとめて伐採したのが昨年の初夏、それで出てきた丸太はいずれ薪にしようと庭の隅に積み上げていたのですが、何かと手が回らずついつい野ざらしのまま一年以上が経ってしまいました。しかし、手掛けてからこちらも長らく放置状態だった薪棚作りが、今年の夏はDIYに励んだ甲斐あって秋風を感じる頃には完了し、これで何とか収納場所が確保できたので、ようやく薪作りに取り掛かることが出来ました。

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 薪作りと言っても、丸太はチェンソーで、焚き付けにする枝は電動ノコギリで、ひたすら長さ30〜40センチメートル程度に切断して薪棚に並べる地道な作業。ただし、丸太の太さはせいぜい10センチメートルほどなので、薪割りは省略です(正統な薪ストーブ通の方からはダメ出しされそうですが)。長く屋外にさらされていたせいか、丸太は内部に広がった菌糸によって多少スカスカになってはいますが、燃やすぶんには問題ないでしょう。含水率を測りながら、これから2年くらい乾燥させるつもりです。

 10月中旬、そんな薪仕事の最中、黒っぽい虫が、お尻の先で樹皮を突くような姿勢で、丸太にとまっているのを見つけました。

「これはひょっとしたら産卵中の寄生バチかな。すると、この丸太の中にいるイモムシに、今まさに卵を産み付けているのか。本物を見るのは初めてだ。すごいなあ。」

と、すなおに感動。さて、このあとどうなるのかな、と注視したのですが、全く動く気配なし。おかしいな、と思って指先で触れても反応なし。改めてよく見ると、体のあちこちに白いものが。それでようやく気づきました。このハチが死んでいたことに。産卵管を木に刺したまま。白いものはカビらしく、死んでからすでに相当な日数が経過しているようでした。

 思えば、この種の寄生バチの産卵は、長い産卵管を硬い木に挿し込んで、しかもその中にいる獲物のイモムシを狙うのだから、それは身を削るような大変な仕事でしょう。このハチがなぜこのような最期を迎えたのか、産卵中に何かトラブルに見舞われたのか、あるいはすでに衰弱していたところで最後の力を振り絞ってもう1個の卵を産もうとしたけれども途中で力尽きたのか。真相はともかく、子孫を残すための大仕事のさなかに息絶えて、そのまま固まったようにカビに覆われた姿から、その体が小さいほどに、そしてその様相が厳しいほどに、生命活動の尊さを感じた次第でした。

写真1 薪作り。丸太は一年以上野ざらしだったので、かなり菌類に覆われていますが、これをひたすらチェンソーで切断します。

写真2 丸太に見つけた黒い虫。お尻を下へ向けています。これは産卵中の寄生バチか?

写真3 近づいて見ると…うん、きっと寄生バチ。でも、なぜか動かない。そして体のあちこちには白いものが…。どうやら死んでかなり日数が経った個体のようです。

写真4 採取して改めて観察。白や薄茶色のカビらしきものは、触覚にまで付いています。(スケールは1mm/目盛)

写真5 おなか側の付着物は、背側のそれよりも酷いように見える。

写真6 別の角度からの画像。産卵管は採取時に取れてしまったもよう。おしりの付近でからまっている細長い器官は、産卵管を収納していた「鞘」でしょうか。私に推測できるのはここまで。この観察のあと、自然に還ってもらうために、庭の土に埋めました。

撮影日:2025年10月12日(写真1〜3)、同10月13日(写真4〜6)

撮影場所:山梨県北杜市